1961年まで、三重県伊勢市には、三重交通神都線という路面電車の路線が存在しました。
伊勢神宮へのアクセス路線として、多くの参拝客の利用された神都線は残念ながら、自動車交通網の発達に伴い、1961年に廃線となり、バス路線に転換されました。
そして、2013年7月伊勢神宮の第62回神宮式年遷宮に合わせて、かつての神都線の路面電車の車両モ543を模したバスを三重交通が登場させました。
当時、これ聞いた私は、「どうせラッピングで済ますのだろう」と思っていましたが、実際に登場した神都バスは、想像以上の物でした。
車体の形状は原型となったいすゞエルガから大きく変更され、屋根の高さは増し、LED行き先表示器は小さくなり、路面電車をイメージとしたシルエットになりました。前面部分もヘッドライトやフロントガラスを除くと、別物になってます。バスの先頭部には必要のないテールライトまで付けられている拘り様です。私が乗車した際は、取り付けられていませんでしたが、全面中央フロントガラス下に、路面電車によくある一灯式の前照灯を取り付けられるようです。(モデルのモ543でも取り外し式で、夜間のみ装着していたようです)
後ろを見ると、モデルとなった車両と同じ、3分割された窓枠に、後ろの方にも、路面電車の前照灯を取り付ける事が可能である事しめす、パーツも見えます。ベース車のエルガのテールライトが無ければ、バスとわからなくなりそうです。当然ダミーですが、トロリーポールやベンチレーターまで付いています。トロリーポールがあっても、電気では走りませんからね。
側面を見ると、電車のような太い二段式窓枠と保護棒が付けられています。ステッカーではなく、ちゃんとした「窓枠」が取り付けられています。
窓枠の下など側面には、リベットのモールドが再現されています。床下機器類は、さすがにステッカーのようですね。
車内もかなり凝った造りとなっています。まず、座席がすべて、ロングシートになっており、路面電車とほぼ同じ造りになっています。木目調の床や壁、真鍮製のパイプ類が取付られれ、室内灯の形状、座席モケットの色は、当時の路面電車の物を再現しています。
これぞ、まさに「つり革」。革素材が使われ、赤福の広告が付けられています。
扉が閉まると、「チンチン」と鐘の音が、電子音ではなく、本当に鐘を鳴らしているようです。
運転席後ろ部分の、座席は取り外され、観光情報の印刷物が置かれています。
ちなみに、ロングシートの一部は跳ね上げて格納する事で、車椅子にも対応する事ができます。乗降口の方へ、車体傾けて段差を小さくする機能もついており、昔の路面電車を再現しながらも、最近のバスとしてのバリアフリー機能も備えています。
原型となった、エルガとの並び、屋根の高さや、フロントマスクのデザインなど大きく変わっている事がわかりますが、ライトなどの共通点もあります。
2013年の導入当初は、乗車に特別料金が必要でしたが、2015年からは一般路線バスに混じって走っています。乗車賃のみで、乗車できます。
極めて、本気度の高い「神都バス」、伊勢志摩を訪れたら、また乗りたいと思う1台でした。
このほかにも、いすゞエルガをベースとしたバッテリーとモーターで駆動する「ポケモン電気バス」など珍しいバスも走っています。この「ポケモン電気バス」は現在は塗装を変えて走っています。
「神都バス」「ポケモン電気バス」共に、三重交通の外宮内宮線で乗る事ができます。
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