2013年の伊勢神宮の第62回式年遷宮に合わせ、登場した近鉄特急しまかぜは、
大阪難波、近鉄名古屋、京都と賢島を結ぶ、観光特急です。デビュー当時は、その印象的な多面体で構成された先頭部のデザインと、乗る事自体が目的となるような豪華な社内設備で話題になりました。
しまかぜは6両編成で、先頭車両はハイデッカー構造で、眺めの良いのが特徴です。中間には、2階建て車両も連結され、車内にはカフェがあり、軽食などを楽しめます。また、グループ向けの個室やコンパ―メント、JRのグリーン車を越えるプレミアムシートなど、私鉄の特急としては、最も豪華な車内設備を備えています。
志摩に吹く風の爽やかさをイメージし、「しまかぜ」と名付けられました。
先頭部は、このように大きく開けており、運転席が丸見えです。一段高い所から、この大きなフロントガラス越しに、前面展望も楽しめます。
1号車、2号車、5号車、6号車は、プレミアムシート車です。プレミアムシートは、JRの一般的なグリーン車のシートピッチを上回る1250mmのシートピッチがあります。そのため、定員も一両あたり、27名から30名ほどになっています。
座席は、本革で、画像のように、リクライニングさせる事ができ、フッドレストも装備されています。テーブルは背面と、ひじ掛け内部に格納されている物が使えます。ヘッドレストは可動式で、その横には読書灯が装備されています。
読書灯や、リクライニング機構は、ひじ掛けのボタンで操作できます。そして、リクライニングのボタン以外にも、「出る」「もどる」「リズム」というボタンが見られます。しまかぜのプレミアムシートには、鉄道車両の座席としては非常に珍しい「マッサージ機能」が備えられています。
デッキ部分の床は、大理石が使われています。天然の石は車重の増加につながるので、通常は使用されませんが、しまかぜは、高級感を演出するため、天然の大理石が使われました。
また、デッキには、無料で利用できるロッカーも配置され、手荷物を預ける事ができます。
デッキのスリット部分には、おしぼりも設置されています。車内で、食事を楽しんだりすることもできる列車には、ありがたいサービスです。
6人掛けのコンパ―メントも設置され、4人分の料金から利用できます。グループで旅行する際は、ぜひ利用したいです。
コンパ―メント以外にも、完全な個室も備えており画像は「和風個室」です。掘り炬燵構造で、足を伸ばしてくつろげます。
和風個室という事もあって、靴を脱いであがります。
洋風個室も存在し、大きなソファーに座ってくつろげます。いずれの個室も、定員は4人ですが、3人から利用できます。
和風、洋風個室共に、テレビモニターが取り付けられ、BGMを流したり、
先頭部に設置されたカメラの前面展望映像を表示できます。速度まで表示されて、楽しいですね。
BS放送のテレビも見られます。
モニターは、壁にあるタッチパネルでコントロールできます。また、カーテンも壁にあるスイッチで上下を操作できます。
個室には、メニューと呼び鈴が備え付けられ、カフェ車両のドリンク・軽食メニューを注文し、ルームサービスで、部屋まで持ってきてもらえます。
車内は化粧スペースも設けられています。
しまかぜの中間の二階建て車両は、カフェ車両になっており、このようなカウンターと簡易ながら食事を提供する設備を有します。
二階建て、上段部分には、眺めが良い方にカウンター形式で座席が配置されています。テーブルより下にも広がる大きな窓です。
階段を降りて、下段の方へ・・・
下段はスペースの狭い、落ち着いた空間が広がっています。小さな窓と、分厚く丸みを帯びた椅子と、横長で直線的なカウンターテーブルに、小さな窓と路地裏の喫茶店のようなスペースです。ここだけ、昭和レトロのような雰囲気を感じます。奥のモニターは、個室に設置されているモニターと同様のものです。
売店カウンターのショーケースには、ケーキが収められています。
我々は3人で賢島から京都まで、洋風個室を利用しましたが、乗務員のサービスもよく、とても良い旅ができました。みんな、ぐっすり寝ていましたが()
それだけ、個室の居住性が良かったのです。
近鉄は、ビスタカーやACEなどの通常の特急列車に加えて、吉野線のさくらライナー、伊勢志摩ライナー、しまかぜなどの観光特急、大阪ー名古屋で新幹線とも競合するアーバンライナーなど数多くの特急列車が走っています。座席の造りも、JRのソレを大きく上回るハイクオリティな物が多く、特急列車にかける熱い思いが感じます。
現在は、最新鋭の特急「ひのとり」を、大阪難波ー近鉄名古屋間に投入しました。
しまかぜのプレミアムシートを発展させた、新しいプレミアムシートが装備され、JR東日本の新幹線のグランクラスに匹敵するレベルの座席となっています。
しまかぜも、大変素晴らしい観光特急でした。ひのとりは、アーバンライナーと同じく名古屋と大阪の都市間輸送を担うため、ビジネス需要を考慮した特急ではありますが、しまかぜの経験が生かされ、さらに洗練された近鉄特急になっていると思います。ひのとりにも、いつか乗車してみたいです。
しまかぜと伊勢志摩ライナー
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